WORK RULES! の読書感想文 ~ googleの仕組み ~
ちょっと古い (5年くらい前)本ですが「WORK RULES! ~君の生き方とリーダーシップを変える~」を読んだのでいつものように感想と概要を書いていきます
どんな本?
Googleの人事担当上級副社長 (なんだそれ)を勤めている人がgoogleがより成長していくために、またグーグラー (googleの社員)がより働きやすい環境を作るためにどのような工夫を行っているのかが書いてある
googleの提供しているサービスだけじゃなくて、人事評価制度や福利厚生の導入なども全てデータに基づいて決められてることを知ることができた
1章 創業者になろう
従業員のマインドについての章
従業員が自分のことを、あくまで会社に雇われている従業員としての考え方をするか、それとも全員が創業者 (オーナー)であるかのように考えるかで会社の環境は変わってくる
全員が創業者のように考えるようになると、自分の給与に関係ある会社の業績だけでなく、自分たちが働いている会社がどんな環境かというところまで意識が届くようになり、会社の環境がよくなる
読者も自分が創業者だと考えるところからまずは始めよう
第2章 「文化が戦略を食う」
会社のミッションとカルチャーについての章
会社のミッションは非常に重要。ミッションが個人の仕事に意味を与える
また、会社の文化として情報はできるだけオープンにする方が良い
社員を信じて情報をオープンにし、裁量を与える方が仕事のパフォーマンスが上がるというデータも出ている
もしメンバーに与えた裁量に不安を感じていないのであればそれはまだ不十分だという証拠、自分が仕事に裁量を与えられたいと思うのであれば自分のして欲しいことを相手にするようにしよう
第3章 レイク・ウォビゴンの幻想
優秀なチームを作るための採用についての章
優秀なチームを作る方法は2つ
- 優秀な人間を外部から引っ張ってくる
- 優秀な人間を内部で育てる
2つの方法のうち、前者の方が確実に優秀なチームを作ることができる
ちなみに章のタイトルのレイク・ウォビゴンとは「レイク・ウォビゴンの人々」という本の中に出てくる全ての子供のできが平均以上という架空の町
https://www.amazon.co.jp/dp/4487761328
筆者は採用に取り組む様子はレイク・ウォビゴンを思い起こさせると言っている
面接官は自分が採用が得意だと思いこみ自分に似た人間を好意的に思いがちなのでバイアスのかかった採用になる
そうして、優秀な人間だけを集めたつもりが採用活動は平凡な結果に終わる
大切なのは時間をかけて人を探し、自分より優秀な人間だけを採用すること
また、マネージャーに面接を任せると自分の好きな人間を採用して権力が集中してしまうし、採用活動が長引くと妥協をしてしまう (現場の人間だから)ので別の人間が面接を行う方が望ましい
第4章 最高の人材を探す方法
採用候補者の探し方についての章
社員からの紹介はかなり強力な方法だが限界がある
まずは自分の求める人物像を具体的に描く
外部の会社に委託するのではなく、社内で採用部門を持っておき常にマーケットを見張る
今はその人物を必要とするポストがなくても将来的に必要になるかもしれない
時にはチームの人材全員採用するなど突拍子もないことも恐れずにやることが必要
第5章 直感を信じてはいけない
面接の話
直感で面接をすると、25分のうち24分50秒は最初の10秒で得た印象を確認するための時間になる
採用する人物のペルソナを定め、面接のフォーマットを定めておくと面接官によるブレが小さくなる
googleでは採用候補者の部下になる人間 (上司ではない)が面接を行うことで、この人の下で働きたいかという公平な視点を入れることができる
第6章 避難所の運営は避難者に任せる
社内での意思決定の話
基本的にはマネージャーの意見ではなく、データに基づいた意思決定を行う
しかし、意思決定のヒエラルキー自体は重要で、データがない場合はマネージャーが行う (より良い意思決定を行えるからマネージャーというポジションにその人はいるはず)
マネージャーがチームのメンバーに権限を委譲することは良いことで、その度にチームにステップアップのチャンスが訪れる
第7章 誰もが嫌う業績管理とgoogleがやろうと決めたこと
業績管理の話
社内の人事評価制度はやはりgoogleと言えども不満は出やすい
業績管理 (本人の成長)と給与の改定は分けて考えた方がいい
また、一人のマネージャーに業績を決定する全権を与えるのではなく、複数のマネージャーが集まってその社員に対する評価をすり合わせる (キャリブレーション)する必要がある
不満がある場合は手を上げる機会を提供してあげる必要もある
第8章 2本のテール
社員の業績の話
業績が最高の社員と最低の社員からこそ学ぶべきものがある
最高の社員をじっくり観察することにより業績をあげるための方法を学ぼう
また、マネジメントというのは人間の処理能力を超える複雑さであるため、チェックリストを用いると良い
調査やチェックリストを使って現状を正しく捉え、最低の社員に改善するように突っつくと良い
第9章 学習する組織を築こう
成長する方法についての話
パフォーマンスの向上には動作を細かく分解し、反復練習することが重要
外部講師を招くより社内の最も優秀な人を教師にする方が、教わる人は実際の現場にいる人間から教わることができるし、教える人も自分の仕事を言語化して伝えることで理解が深まり会社としては2重のメリットがある
トレーニングの受けた人の振る舞いを変えるようなプログラムに投資すると良い
第10章 報酬は不公平でいい
給与の話
ずば抜けて優秀な社員には、社内の摩擦を恐れず不公平な報酬を払う
ただ不満感が出ないように社員同士で称え合う文化があると良い
報酬は現金でなく経験を与える方が満足度が高いというデータがある
また大きなチャレンジをして失敗した場合、それに報いる
失敗しても攻めたことを称える
第11章 タダ (ほぼタダ)ほどすてきなものはない
福利厚生の話
福利厚生はお金がかかると思われがちだが、ランチに移動販売に来てもらったり講演会を開いたりはほぼ無料で行うことができる
社員の負担を減らすことは会社としてプラスに働く
新たな福利厚生を提案されるとNoという理由を探しがちだがYesという利用を見つけるようにしよう
第12章 ナッジ / 選択の背中を押す
ナッジとは行動経済学の用語で、人々が強制的ではなく自発的により良い選択ができるようにする工夫のこと
ナッジを使うことでチームの行動をより良いものに変えることができる
ただし、選択肢を奪うことは不満を産むので、選択肢としては残した上でより良い方を選ぶように工夫する必要がある
ナッジは強制ではないということに気を付ける
第13章 人生は最高の時ばかりではない
失敗の話
今までのGoogleの制度は最初からうまくいったものではなく、多くの失敗を繰り返して出来上がったもの
失敗したときは間違いを認め隠そうとしない
あらゆる方向に助言を求め、間違いから教訓を学びそれを伝えると良い
感想
googleの人事制度についてデータを交えながらどのような施策を実践し、現在どのように運用されているかを知ることができた
細かな施策は多いが根元となる考え方としては、「データに基づいて判断する」「社員は会社にとって最も大切な資産」ってのがあるのかなと思った
本の主旨とはずれるけど福利厚生の部分では、会社の制度としてあればもちろんいいが、ないとしても自分の健康とパフォーマンス向上のために時間とお金をかけることは大切だと感じた